カテゴリ:ドキュメンタリー( 4 )

ロング グッドバイ

とある昼下がり、まだ高校生だった私にたまたまその日家にいた父が新聞のTV欄を
手に私に言った。「ゆっき~、この番組面白そうじゃないか」それは15時くらいから
2時間ドラマを再放送しているもので当時は今よりTV界の規制も緩かったのか、
わりとセクシーシーンのあるものも放送していた(昼間なのに)そのドラマのサブタイトルは「昼下がりの団地妻レイ○」とかいうもので、私は「本当だ!見なきゃ」といい、
2人は正座して観た(姉もいた気がした。そして呆れていた)観終わって一言、「思ったほどやらしくなかった」という感想まで一致していた。そりゃそうだ普通のドラマだもの。
タイトルがすごすぎただけである。しかし、その時「DNA」同士がぱちーんとハイタッチしているような気が、した。普段そういう話をオープンにする家でもなかった。話す事といえばごくごく普通の話題。でも、その瞬間だけはなぜか、通じ合った。それ以来、そういう事はなかったと思う。

先日、そんな父が他界した。
嫌だと思う事は多々あったけど、もう楽しかった思い出しか浮かばない。
                           (それが↑ってどうなのか)

子供がいるって何か意味があるのだろうか。子孫を残す事だとはわかっているけど、
そんなスケールのでかい事はぼんやりとしか想像出来ず、最近になってああ、そういう事なんだと気付く。私のエロと文章を書くのをこよなく愛する特徴はきっと父から受け継いだもの。もう一人の中に、自分がいる。それはつまり死んでいるけど生きている(怖いか)
考えてみればすごい事かもしれない。今の私には残せるものってないなあ。そう思うと
父が羨ましくもある。もう一つ、入院中から、他界してからも、家族や友人、周りの人の温かさや助けに触れる機会が多くあった。それは彼の最後のプレゼントなのかもしれない。

最期を診てくれた女医さん(ご臨終ですとか言ってくれる人ね)の目に涙が浮かんでいた。
しかも若くて美人。最期までラッキーなんてそんなところも羨ましい。

父よ。

父よ、私はここにいる。(そしてきっと変なトラバも張られている。前半の文章のせいで)


nanaさんが気持ちとリンクするような素敵な写真を撮っていたので↓ぜひ♪
写っているのはゆっき~親子じゃないので念のため。

ずっと一緒にいよう
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by ryokoubato | 2007-03-23 23:29 | ドキュメンタリー

連続短編小説「漂流教室(ある意味)」vol.3

※vol1と2がまだの方はそちらからお読み下さい。

私は師亡き後もウクレレを続ける事にした。
とりあえず××ギター・ウクレレ教室へ体験入学。
するとウクレレ講座にもかかわらず、講師はまず持って来た
ギターでおもむろにポロロと「禁じられた遊び」を弾き出した。で、
「やっぱ、ギターっていいよね」…ギター・ウクレレ教室だから
仕方ないのだろう。ウクレレ・ギター教室ならちょっとはウクレレの
立場も違ったのだろう。もう一件も体験入学したがそんな感じであくまでも
ウクレレは主役というよりは伴奏楽器という教え方で、亡き(だから殺すな)
かの講師のウクに対する愛情は誰よりも強かったのだと顧みる。ああ、あの
教室がありさえすれば…と思いつつ、月日は過ぎ、私のウクレレも箪笥の肥やしと
なっていった。

そして翌々年くらいであろうか、一通のDMが届いた。やな予感。
「違う場所で新しく教室始めました!!来てねっ♪」と何事もなかったかのよな内容が。
「あ、先生、生きてた」という安堵。そして「良かったね…絶対もう行かねえけどな」と心でつぶやいた。こうして理由もわからぬまま失踪事件は幕を閉じた。

あれからもう10年が過ぎた。再開した教室が続いているかどうかも、わからない。
けれどもしその講師がぐぐってここを見たら、私の身も危ないかもしれない。
消される前に大好物の、アレを食べておこう。かじかんだ手をストーブにかざす。
春は確実に地面の下で準備を始めているのだろう。それが地表に出るのももうすぐだ。

先生、あの日の牧伸二は、もう弾けません。

                        --完--
エンディングテーマ・「マドンナたちのララバイ」(出来れば)

あと書き・結局失踪の理由が分からないという、ぐずぐずの最後ですみません。
完読して下さった方、ありがとうございました。バトン結局先週出来なかったので
次回はきっと。ええ、きっと。
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by ryokoubato | 2006-02-07 21:25 | ドキュメンタリー

連続短編小説「漂流教室(ある意味)」vol.2

※vol.1をまだの方はそちらから御覧下さい。

そうして先生は時折気絶しながら私に牧伸二を教えてくれた。
しかし先生、来客の予定でもあるのだろうか、心無しか焦っている
様子だった。そして予想通り誰かやって来た--髪を金髪に染めた若く、
ちょっと恐そうな感じの女の子達数人だった。どういう関係なのかも
全くわからなかった。先生は私との授業を早々と終え、何か訳ありな様子で
彼女達と夜の街へ消えて行った。それが私の、先生を見た最後となってしまった。

授業の予約は電話でするので、いつも通り教室へ電話をかけてみると、
一向につながらない。困り果て、会社帰りにその教室へ訪ねて行く事にした。

ビルに辿り着いて、教室が閉まったままの事に気付き、しばらく立ち尽くして
困っていると、そのビルに関係してるらしいおばさんが通りがかった。
そして刑事ドラマで容疑者か誰かの家を訪ねる時とか、近所の人が出て来て
「ああ、その人ならもう引っ越しましたよ」とか言う正にそんな感じで、私に
「ああ、その教室ならこのビルからもう撤退しましたよ」と親切に教えてくれた。
まて、移転するとか教室自体無くなるとか、一言も聞いてない。電話も急につながらない。
教室が……消えた……?私は夜の街に呆然と立ち尽くしていた。入会金1万を払って3ヵ月しか習っていなかった。その怒りよりも、最後見た姿が姿だっただけに先生の安否の方が心配で仕方なかった。まさか、薬漬けにされて東京湾とかに沈められてしまったのかしらん、とちょっとだけ不安が頭をかすめた。否、しかし新聞には「ウクレレ講師遺体見つかる」とか(まだ)報道されてないしきっと大丈夫なはずだ。それに、ウクレリストとしての自分の今後も考えなくてはいけなかった。

                      --続く--
次週完結編、「新たな旅立ち」お楽しみに!バトンを2つ頂いたので金曜日はしばらく
バトンデー。
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by ryokoubato | 2006-01-31 20:56 | ドキュメンタリー

連続短編小説「漂流教室(ある意味)」vol.1

楽譜は読めないし楽器も出来ない私だが、奏でたくなる時もある。ふとしたきっかけで雑誌の「お稽古特集」で見たウクレレ教室の記事。3コード覚えれば100曲レパートリーが出来ると言う。これはと思いさっそく楽器店でウクレレを購入し、教室に通うことにした。ビルの一室にあるそこは、フラ教室もかねていた。予約を入れて好きな時間に通うのだが、その時間一緒にやる人がいればグループで、ひとりであればマンツーマンで受けられた。授業時間は先生の気分次第で30分から長い時は2時間以上にも及んだ。

先生の口グセは「俺、ハーブオオタ(ウクレレの神様と言われている人)と知り合いなんだぜ」で、雑談で授業が中断する事もしばしば。「先生はこんな曲も弾けちゃうんだよね」と弾いてくれるのだがいつも同じ曲。私は「先生、本当はレパートリー少ないんじゃ…」という言葉をぐっと飲み込んで「わあ、すごい♪」といつも新鮮な驚きを見せた。しかし授業はいいかげんかと言うとそうでなく、指導は熱心で私もみるみる上達していった。よく授業で一緒になる人より上達が早いとも言われた。(大きさといい)私に合っている、運命の楽器なのかもしれない。いつの間にか一流のウクレリストを目指すようになっていった。いつかこれを持って世に出よう。

先生はウクレレはただの伴奏楽器だけではなく、主旋律を奏でる立派なメインをはれる楽器なのだと、そう教えてくれた。彼は心底ウクレレを愛しているのだ。
いくつかソロレパートリーも弾けるようになった。「さくらさくら」は琴の音のようにしっとりと、「ラ・クンパルシータ」は情熱的に、「コーヒー・ルンバ」は哀愁ただよう。しかしそんな幸せな時間は長く続かなかった。ある日教室に行くと生徒は私一人だった。先生の様子が明らかにおかしい。変な匂いがするし、時折意識をなくしている。寝ている、というよりは意識がない、というのに近かった。かといって病気でもない感じだ。私は薬には詳しくないが、まさか…?私は妙な感じを覚えながらも以前から
教わりたかった牧伸二(が漫談で演奏している曲)を教えて下さい、とお願いした。
         
                        -続く-
次週、先生の身に一体!?「消えた教室」お楽しみに。

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by ryokoubato | 2006-01-24 23:28 | ドキュメンタリー